旅立ち前夜2009/06/05 23:25

会社の長期勤続休暇制度を利用すると3週間の休暇が取れる。
当初はカナダを横断しようと思ったが、6月はカナディアンロッキーなどは旅のベストシーズンで航空券は高いし思いどおりに日程を組めそうにない。
それならば空いているところに行こうということで、季節が冬のオーストラリアに行くことにした。
オーストラリア横断とか縦断を考えたが、広大なオーストラリアにとって3週間は短すぎる期間であることが判明し、結局はオーストラリアをキャンピングカーで半縦断することになった。(ダーウィン→エアーズロック)

最近の我が家の話題の中心は専らオーストラリアである。
息子も「あと○日ねんねするとオーストラリアだ。」とカウントダウンに余念がない。

その旅は明日の夜から始まる。
20泊22日の旅は、私たち家族の今後の生き方に大きな影響を与えるような気がする。
ちょっと大袈裟だけれど、そんな予感がしている。

旅のタイトルは「子連れで目指せ、エアーズロック」である。

子連れで目指せ、エアーズロック(第1日目)2009/06/06 21:39

飛行機の出発は夜9時半。

今回は車で成田空港に向かったが、首都高が多少渋滞していただけで、6時半には空港に着いてしまった。

空港ロビーでおにぎりとビールという簡単な夕食をとり、あとはのんびりと搭乗を待つ。
普通ならこうなるが、子連れの旅行はなかなかのんびりとはいかない。せっかちな息子は飛行機に早く乗りたいと煩い、煩い。
乗る時間は決まっていると何度説明しても、早く乗りたい攻撃はやまないのである。

本屋や土産物屋で時間をつぶし、さあ出国手続きをして搭乗ゲートに向かおうとしたそのとき、息子の「ウンチでるぅ」の声。
タイミングを図ったかのような便意である。慌ててトイレに駆け込んだが、ウンチはなかなか出ない。息子は便秘症でウンチにはけっこう時間がかかる方なのだ。
結局、何とか出すものを出し、搭乗ゲートに着いたのは出発の10分前。

子連れの旅行はこのように落ち着かないのである。

子連れで目指せ、エアーズロック(第2日目)2009/06/07 18:27

ケアンズ空港に着いたのが早朝6時、ダーウィン行きの飛行機に乗り継ぐのだが、それまで6時間もある。

空港のソファで仮眠をとりたいところだが、息子がそんなことを許すわけもなく、空港でぶらぶらと時間をつぶすことになる。
機中で5時間程度しか寝ていないはずなのに、子供っていうのは元気な生き物である。そんな息子も9時過ぎには力尽きてソファーで寝てしまった。

昼寝のあと空港のバーガーショップで昼食をとった。
空港のバーガーショップというと日本人の感覚ではマックなどのチェーン店が効率的に多くの客をさばくわけだが、ケアンズのような小さな空港のバーガーショップはチェーン店のような雰囲気はあまりなく、客の注文を受けてから肉を焼き始めるのだ。こうしたスタイルの店は町でもよく見かけるが、ボリュームたっぷり、できたてのハンバーガーを食べられるので、私はこうした店がお気に入りである。

しかし、ケアンズ空港のこの店は店員が2人しかおらず、この2人で全てをこなすわけだ。ポテトを揚げ、肉を焼き、パンに野菜をはさみ、飲み物を注ぎ、レジをたたき、、そんな具合だから客が5人も来るとてんやわんや。私も30分は待たされてしまった。
客の注文をしっかりと把握していないみたいだし、肉が生焼けで文句を言う客も出てくるし、店内は半ばパニック状態。ついには「もう肉は無くなった。今日はこれでおしまい。」と看板の電気を消してしまった。まるで喜劇みたいなシーンである。

想像するにいつもよりも店員が少なかったのではなかろうか。しかし、国際空港のバーガーショップがこんな具合なわけで、とても大らかな国民性の表れのように思える。短気な私がいらいらを通り越して、呆れて笑ってしまった。
オーストラリアのこんなところに好感を持ってしまう私である。

子連れで目指せ、エアーズロック(第3日目)2009/06/08 21:00

今この文章を書いているのは、キャンピングカーの中。
場所はオーストラリア、ノーザンテリトリー準州の首都ダーウィン郊外にあるHoward Sprinngs Caravan Park である。

キャラバンパークというのはオーストラリアに星の数ほどもあるキャンプ場で、オーストラリア人(オージー)の旅行といえば、キャラバン(キャンピングカー)でキャラバンパークに行くというのが定番のようである。

キャラバンパークはコテージを用意している所も少なくなく、これまでもコテージ利用でキャラバンパークに泊まったことは何度もあった。しかし、キャンピングカーを利用したのは初めてである。

しかし、今日は疲れた。
キャンピングカーの営業所も思いのほか混んでいたし、ようやく辿りついたキャラバンパークでのタープ(日除けテント)の設営などに大汗をかいてしまった。キャンピングカーも思いのほか狭いし、何やらホームレス気分である。

そもそもキャンプなどの経験が皆無に等しい私がキャンピングカーで旅するというのが少々無謀なのかもしれないと、弱気にもなってしまう。
キャンピングカーを貸し出すときの営業所の説明もかなり簡単なもの(15分程度のDVDを見せられるくらい)で、英語がたいして分からない者にとってはなかなか厳しい状況なのだ。
妻も疲れ果てたようで、夕方からは口数も少なく、早々に寝てしまっている。ただ息子だけは元気で、相変わらずいたずらばかりして、親の疲れを倍増させている。

しかし、キャンピングカーの外は満点の星が煌いており、こんな星空を眺めていると疲れも消えていくような不思議な気持ちになる。
明日から徐々にキャンプ生活に慣れて、もっと楽しい時間を過ごせるような気がする。

明日からに期待しょう。

子連れで目指せ、エアーズロック(第4日目)2009/06/09 23:45

今日はカカドゥ国立公園に移動する日。約300kmの行程である。

借りたキャンピングカーはトヨタのハイトップというバンをベースにしたもので、レンタカー会社(ブリッツ)ではボイジャーと名付けている。

ボイジャーのサイズは縦5.6m、横1.9m、高さ2.8mで、ブリッツのキャンピングカーの中ではかなり小さいサイズである。

妻は今は亡き父親が仕事の関係で使っていたバンをよく運転していたとのことで、バンの運転には何の不安もない。一方私は自慢ではないが、運転席が高い車は軽トラックといえども運転したことはない。できれば妻に運転を任せきりにしたいところだが、今日の走行距離は300km。当然交代で運転することになる。

初めてのバンの運転はドキドキものだが、普通の車より縦揺れが大きいくらいで、10分もしないうちに慣れてしまう。ただ、私が運転していたアーネム・ハイウェイの1時間はひたすら真っ直ぐで、ハンドルを切ることはほとんど無かった。

クーインダという所にあるキャラバンパークに着いたのは午後4時くらいだったが、キャンピングカー用のPowerd Siteは空きが無いという。ショックである。仕方無しに40km離れたジャリブーまで戻って別のキャラバンパークに泊まることにした。

昨日今日とキャラバンパークに泊まって感じたことだが、予想外に混んでいるのである。オーストラリアは冬だから空いているだろうと気楽に考えていたが、ノーザンテリトリーは乾季で旅行のベストシーズンのようなのだ。

のんびりしたなぁ、という日がなかなか来ないんだよなぁ。

子連れで目指せ、エアーズロック(第5日目)2009/06/10 22:21

旅を始めて早くも5日目。ようやく環境にも慣れ、今日はのんびりと過ごすことができた。

昨日泊まったジャビルーのキャラバンパーク(Kakadu Lodge)に連泊することにし、朝から旅行で初めての洗濯である。キャラバンパーク
には洗濯機と乾燥機は完備しているし、洗濯物を干すスペースも設けられている。

私は旅行に行ってもあまり観光はしないのだが、せっかく世界遺産に指定されているカカドゥに来たわけで、ウビルーというアボリジニのロックアートの名所(?)に行ってみた。

アボリジニが2万年ほど前に岩肌に描いた絵が今なお残っているとのことだ。たしかにいろいろな岩肌に絵が描かれている。

見晴台から見た景色は素晴らしかった。360度どこまでも広がる大地はなかなか目にすることができない光景である。
息子も大喜び、といってもその風景に感激したというよりも、展望台まで岩登りが純粋に楽しかったらしい。

子連れで目指せ、エアーズロック(第6日目)2009/06/11 21:32

今日は移動日。カカドゥ国立公園(ジャビルー)からニトミルク国立公園(キャサリン)まで約350kmの移動だった。

ハイウェイは相変わらず空いており、たまにすれ違う車はたいていキャンピングカーである。

9時過ぎに出発したので、午後の2時くらいには到着できるかと思ったが、休憩をしたりスーパーで買い物をしたりしているうちに結局は4時になってしまった。

キャンプ場のパワードサイト(電源付きのキャンピングカー用の敷地)は半分以上は埋まっており、予想以上ににぎやかである。
学校が休みでもないのにこのにぎわいぶりは何故なのだろうか。オーストラリアの人口は日本の7分の1だというのに。

日本ではキャンプをするのは非常に限られた人たちだが、オーストラリアではかなりポピュラーな旅のスタイルなのだと思う。

子連れで目指せ、エアーズロック(第7日目)2009/06/12 22:18

昨日からニトミルク国立公園(キャサリン渓谷国立公園)のキャンプ場に滞在している。

キャサリン(ノーザンテリトリー第3の町、人口1万人)から30kmほどなのだが、自然の真っ只中という感じで、野生のワラビーが時々顔を出す。

少しは体を動かそうとサンドイッチを持って、キャサリン川を見渡せる見晴台まで行ってみた。上り坂と階段で30分ほどだがなかなか雄大な眺めである。その近くで昼食をとったあと、約3kmの遊歩道を歩いて戻ることにしたが、これが大間違いだった。

陽射しが強く日陰があまりないので、かなりしんどいのだ。息子が日射病になりはしないかと心配だ。息子も最後の方は無口になったが何とか1時間10分でスタート地点に戻った。

息子は「次はプールだ」と元気満々。たいしたもんだと感心しているうちに私の体に異変が生じた。頭痛がするし、体がだるくて動くのがしんどいのだ。車の中で横になることにしたが、そのうちに気持ちが悪くなってきて、どうにもならない。
結局、そのまま次の日の朝まで寝込んでしまった。14時間は寝ただろうか、朝にはようやく普通の状態に戻った。日射病だったのかもしれない。

妻も息子もぴんぴんしており、3人の中で実は私が一番体力が無いことが判明してしまった。

子連れで目指せ、エアーズロック(第8日目)2009/06/13 19:40

朝起きると昨日の不調から回復して、ほとんど普通の状態になった。

今日はテナントクリークまで数百キロの移動の予定だったが、病み上がりだから大事に行こうと百キロ南のマタランカのキャラバンパーク(マタランカ・ホームステッド)に泊まることにした。

近くに温泉があるので有名な所だ。
温泉とはいっても日本の温泉とは全然違う。湯温は35度くらいのぬるま湯で、皆水着を着て浸かっている。まあ温水プールのような感じだ。温水プールと違うのは、中で魚が泳いでいるところだろうか。さすが熱帯地方の温泉には熱帯魚が泳いでいるのである。(笑)

子連れで目指せ、エアーズロック(第9日目)2009/06/14 21:08

今日は移動日である。

マタランカの町からスリーウェイズのキャラバンパークまで550kmを走破した。最初は400kmくらいほど走ったところにあるルナースプリングスのキャンプ場に泊まる予定だったが、行ってみたところプールが閉鎖中。
プール好きの息子の強い要望でそこから100km以上もあるスリーウェイズまで来たわけだ。

このあたりまで南下してくると緑がだいぶ少なくなり、いよいよ砂漠が近いことを感じさせられる。スリーウェイズのキャラバンパークは受付のお姉さんも愛想がよく、なかなか落ち着けるところだ。

息子がお目当てのプールもあったが、ついに息子も水の冷たさに入水を断念した。南下するに従って気温は低くなる。エアーズロックの最低気温は5度くらいになるらしい。スリーウェイズのあたりはまだ日中の陽射しは強く気温も30度くらいまで上がっているのだが、プールの水はとても冷たく、息子もついに断念したわけだ。

この旅ではもうプールに入れないかもしれない。