拾い物の人生 ― 2010/07/05 19:48

久しぶりに息子を連れて実家に行ってきた。
私の子供の頃のことを聞いても「わからん」の一言ですませる(私の)父親が、珍しく自分(父親)の若い頃の話をしてくれた。
父親は新潟出身だが、まだ新潟にいた頃、いわゆる赤紙が来て軍隊に徴兵された。
徴兵された場所は新発田だったが、後にその軍団(?)が丸ごと溝の口(川崎市)に移った。
そして、ガダルカナルへの援軍として出船したが、敵機に撃沈され、あえなく全員が戦死してしまった。
しかし、父親はどういうわけか今も生きている。
何故かというと、まだ徴兵される前に父親は近所の知り合いの兵士に、「軍隊よりも憲兵の方がずっと楽でいいぞ。」とアドバイスらしきものを受けていたらしく、徴兵時に「自分は憲兵になることが希望です。」と申し出ていたというのだ。
新発田から溝の口には他の兵隊とともに移ったが、いざ戦地に船出するときに、憲兵志望の父親だけは残されたというのだ。
何という運の強さであろうか。
こういう話はよく聞く。
特攻隊だったが出撃予定の前日に終戦を迎えたとか、自分だけが捕虜になって生きながらえたとか。
しかし、自分の父親がこうした形で命拾いをしていたと聞いたのは初めてだった。
父親が他の兵隊とともにガダルカナルに向かっていれば、当然戦死したはずだ。
そうすれば私も生まれていなかったわけだし、息子のナオミチも今ここに存在しなかったことになる。
親子3代、拾いものの人生といってもいいわけだ。
拾いものの人生だから思い切って好きなことをしようと考えるか、せっかく助かったのだから慎重に大事に生きようと考えるか、さて。。。
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